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慢性閉塞性肺疾患(COPD)

慢性閉塞性肺疾患(COPD)
とは?

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、肺気腫と慢性気管支炎が組み合わさった状態で、気道の炎症と肺組織の破壊により、徐々に呼吸機能が低下していく疾患です。一度損傷を受けた肺組織は元に戻ることがないため、早期の診断と適切な治療により病状の進行を抑制することが重要です。当院では、患者さまの病状に応じた包括的な治療とケアを提供し、QOL(生活の質)の維持・向上を目指しています。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは?

COPDの症状チェック

COPDの症状は徐々に進行するため、初期には見過ごされやすいことが特徴です。以下のような症状が続く場合は、COPDの可能性を考慮し早期の受診をおすすめします。

COPDの症状チェック
  • 慢性的に咳や痰が出る
  • 階段昇降や歩行時に息が切れる
  • 息を吐く時の困難感や胸の苦しさ、喘鳴(ぜんめい)などがある

息切れの症状チェック

息切れの強さを見るための質問として、mMRCスケールがあります。5段階で息切れの程度を評価します。

Grade 息切れの症状
0 激しい運動をした時だけ息切れがある
1 平坦な道を早足で歩く、あるいは緩やかな上り坂を歩く時に息切れがある
2 息切れのために、同年代の人よりも平坦な道を歩くのが遅い、あるいは平坦な道を自分のペースで歩いている時に、息切れのために立ち止まることがある
3 平坦な道を約90m、あるいは数分歩くと息切れのために立ち止まる
4 息切れがひどく家からも出られない、あるいは衣服の着替えをする時にも息切れがある

COPDの進行と合併症

COPDは進行性の疾患で、適切な治療を行わないと徐々に呼吸機能が悪化し、日常生活に大きな影響を与えます。また、呼吸器症状だけでなく、全身にさまざまな合併症を引き起こす可能性があるため、包括的な管理が必要です。

慢性閉塞性肺疾患の
主な合併症

心血管疾患

COPDでは慢性的な酸素不足により心臓に負担がかかり、動脈硬化が進むことで心筋梗塞をはじめとする心血管疾患のリスクが高まります。

肺高血圧症

肺の血管に炎症や障害が生じることで肺動脈圧が上昇し、肺高血圧症を合併することがあります。やがて右心不全を引き起こし、全身の循環に影響を与えます。

骨粗鬆症

COPDでは炎症や運動不足などにより骨密度が低下し、骨粗鬆症のリスクが高まります。転倒による骨折の危険性も増加するため、注意が必要です。

栄養障害・筋力低下

全身性の慢性的な炎症により栄養状態が悪化することがあります。また、活動量の低下により筋力が低下し、さらなる機能低下を招きます。

うつ病・不安障害

慢性的な呼吸困難や活動制限により、うつ病や不安障害を合併することがあります。精神的なサポートも含めた包括的な治療が必要です。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の原因はタバコだけ?

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の原因はタバコだけ?COPDの主な原因は長期間の喫煙ですが、タバコ以外にも複数の要因が関与しています。受動喫煙や大気汚染、職業性の粉塵や化学物質への長期間の曝露も発症リスクを高めます。これらの複数の要因が組み合わさることで、COPDの発症リスクがより高まるため、包括的な予防対策が重要です。

COPDはどう診断する?

COPDの診断において肺機能検査は重要な検査で、気道の閉塞性変化を客観的に評価できます。当院では患者さまの負担を最小限に抑えながら、正確な診断のための検査を実施いたします。

肺機能検査

スパイロメトリーにより、肺活量や1秒量を測定し、気道の閉塞程度を評価します。COPDでは気管支拡張薬を使用しても肺機能の改善が限定的であることが特徴です。この検査により重症度分類も行い、治療方針の決定に役立てます。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の重症度分類

COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、進行性の呼吸器疾患であり、病状の進行に応じて重症度が分類されます。重症度は主に肺機能検査の結果をもとに判断され、症状や生活への影響に応じてステージ1〜4に分類されます。早期発見・早期治療により、進行を抑えることが可能です。

進行度 定義 特徴
ステージ1(軽症) 軽度の気流閉塞 症状が軽微で日常生活への影響は少ない
ステージ2(中等症) 中等度の気流閉塞 労作時の息切れが目立ち始める
ステージ3(重症) 重度の気流閉塞 日常活動が著しく制限される
ステージ4(最重症) 最重度の気流閉塞 安静時でも呼吸困難があり、生命に関わる

COPDの治療方法

COPDの治療は、病状の進行抑制と症状の改善、QOLの向上を目的として行います。禁煙、薬物療法、呼吸リハビリテーションを組み合わせた包括的なアプローチにより、患者さま一人ひとりの状態に応じた治療を提供いたします。

禁煙

禁煙COPDの進行を抑制するためには完全な禁煙が不可欠です。当院では禁煙外来も併設しており、医学的サポートによる確実な禁煙をお手伝いいたします。

詳しくはこちらへ

薬物療法

吸入薬

気管支拡張薬により気道を拡張し、呼吸困難の改善を図ります。長時間作用型の薬剤を中心に、患者さまの症状に応じて選択します。

吸入ステロイド薬

気道の炎症を抑制し、急性増悪の頻度を減らす効果があります。重症度に応じて気管支拡張薬との配合薬を使用することもあります。副作用に注意しながら適切に使用します。

呼吸リハビリテーション

呼吸筋力の強化、呼吸法の改善、全身の体力向上を目的とした包括的なプログラムです。運動療法、呼吸法指導、栄養指導、心理的サポートなどを組み合わせて実施し、QOLの向上を図ります。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)のよくある質問

COPDは治りますか?

COPDで損傷を受けた肺組織を完全に元に戻すことはできませんが、適切な治療により症状の改善と病状の進行抑制が可能です。

COPDと診断されたら寿命はどれくらい?

COPDの予後は重症度や治療への反応により大きく異なります。早期診断と適切な治療により、多くの患者さまが日常生活を維持されています。

COPDと診断された後も運動していいですか?

適度な運動はCOPD患者さまにとって重要です。ただし、患者さまの状態に応じた運動プログラムを医師と相談して決めることが大切です。

COPDでも旅行や外出はできますか?

事前の体調管理、薬剤の準備、酸素療法が必要な場合は携帯用酸素の手配など、適切な準備を行うことで、旅行や外出を楽しまれている患者さまも多くおられます。

COPDになりやすい年齢とは?

COPDは主に中高年以降に発症することが多く、特に長期間喫煙されていた方では50歳代以降にリスクが高まりますが、年齢に関わらず症状がある場合は早期の受診が大切です。