気胸とは?
気胸とは、肺を包んでいる胸膜という薄い膜に穴が開くことで、肺と胸壁の間の胸腔に空気が漏れ出す疾患です。正常な状態では肺は適切に膨らみますが、気胸が起こると肺がしぼみ適切に呼吸ができなくなります。
気胸は軽症から重症までさまざまな程度があり、軽度の場合は自然に改善することもありますが、重症の場合は生命に関わることもある疾患です。当院では、気胸の症状を早期に発見し、重症度に応じた適切な治療方針をご提案いたします。
気胸の種類と原因
気胸は発症の原因により大きく二つに分類されます。それぞれ発症のメカニズムや治療法が異なるため、正確な診断が重要です。
自然気胸
明らかな外因がなく自然に発症する気胸で、健康な若い男性に多く見られます。身長が高く痩せ型の方に発症しやすい傾向があり、肺の表面にある小さな袋状の構造が破れることで起こります。
外傷性気胸
交通事故や転落事故といったものによる外傷などが原因で発症する気胸です。肋骨骨折による肺の損傷や、胸部への強い衝撃により肺に穴が開くことで起こります。
背中の痛みは気胸の症状かも?症状をセルフチェック
気胸の症状は突然現れることが多く、初期症状を見逃さないことが重要です。以下のような症状が現れた場合は気胸の可能性を考慮し、速やかな受診が必要です。

- 突然の胸痛(特に片側の鋭い痛みが特徴)
- 息切れや呼吸困難(安静時でも呼吸が苦しくなる)
- 背中の痛みや肩の痛み(胸膜の刺激により関連痛として現れる) など
気胸の検査方法
まず、詳しい診察・問診を実施し、胸の痛みや呼吸のしづらさなどの症状をお聞きするとともに、聴診器を用いて呼吸音の異常を確認します。
その後、確定診断と状態把握のために胸部レントゲン検査を行います。レントゲン写真では、肺がしぼんだ状態と胸腔内に蓄積した空気を確認することができます。
精密検査が必要と判断された場合には、他の病院と連携してご案内することも可能です。
気胸の進行と重症度
気胸の重症度は、胸部レントゲン写真で肺がどの程度しぼんでいるかにより分類されます。軽度の気胸では症状が軽微で経過観察が可能な場合もありますが、高度の気胸では緊急処置が必要になることがあります。
重症度 | 症状・特徴 |
---|---|
軽度 | 軽微な胸痛や息切れがある。無症状の場合もある |
中等度 | 明らかな胸痛と息切れ、呼吸困難が現れる |
高度 | 強い胸痛と著明な呼吸困難、安静時でも息苦しさが顕著 |
緊急 | 血圧低下、ショック症状、生命に危険のある状況 |
気胸の治療方法
経過観察
軽度の気胸で症状が軽微な場合は、安静にして経過を観察します。軽度の気胸は自然に改善することが多く、定期的なレントゲン検査により肺の再膨張を確認しながら外来で管理します。
胸腔ドレナージ
中等度以上の気胸や症状が強い場合は、胸腔内に細いチューブを挿入して空気を抜く処置を行います。
外科的治療
再発を繰り返す場合や保存的治療で改善しない場合は、手術を検討します。胸腔鏡を用いた低侵襲手術により再発の防止を図ります。
気胸のよくある質問
気胸は放っておくとどうなりますか?
軽度の気胸は自然に改善することもありますが、放置すると肺の虚脱が進行し、呼吸困難が悪化する可能性があります。
気胸は何回も再発しますか?
自然気胸は再発しやすい疾患です。再発を繰り返す場合は、根治的な外科治療により再発防止を図ることが推奨されます。
気胸になったらどのくらい安静にしたらいいですか?
軽度の気胸では数日から1週間程度の安静が必要です。症状の改善と肺の再膨張を確認してから、徐々に日常生活に戻ります。
気胸になりやすい人はどんな人ですか?
身長が高く痩せ型の若い男性に多く見られます。また、喫煙者や家族歴のある方、既存の肺疾患がある方も気胸のリスクが高いとされています。
気胸になったら飛行機やダイビングはできないですか?
気胸の治療完了後であっても、飛行機搭乗やダイビングなどの気圧変化を伴う活動は、医師と相談して慎重に判断する必要があります。