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喘鳴

喘鳴(ぜんめい)とは

喘鳴(ぜんめい)とは喘鳴とは、呼吸時に気道内で生じる異常な音のことで、ヒューヒュー・ゼーゼーといった特徴的な音として聞こえます。これは気道が何らかの原因で狭くなった時に、その狭い部分を空気が通過することで発生する音です。ぜんそくや気管支炎などの呼吸器疾患に伴って見られることが多く、子どもから高齢者まで幅広い年代で起こり得ます。
また、喘鳴(ぜんめい)の音の性質や発生するタイミングによって、原因となる病気を推測することができます。当院では、喘鳴の詳しい状態・症状を診断し、原因に応じた適切な治療を提供いたします。

ヒューヒュー、ゼーゼーと鳴る呼吸音は「喘鳴」かも?

呼吸のたびに胸の奥から「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった音が聞こえる場合、それは気道が何らかの原因で狭くなっているサインかもしれません。特に息を吐く時(呼気時)に多く聞かれるのが特徴で、まるで笛のような音や、口笛に似た音が胸の奥から響くように聞こえることがあります。
また、原因や重症度によって聞こえる音の強さやタイミングが異なります。
以下のような呼吸音が聞こえる方、呼吸がしづらいと感じる方は、早めに呼吸器内科などを受診し、適切な検査を受けることが大切です。

  • ヒューヒュー音:高く鋭い音。軽度の気道狭窄でよく見られます。
  • ゼーゼー音:低く濁った音。痰や分泌物が多い時によく聞かれます。
  • ピーピー音、ゴロゴロ音:時に複数の音が重なり合って聞こえることもあります。

夜間や早朝に悪化することも

夜間や早朝に悪化することも喘鳴は、特に夜間や明け方に悪化することが多いと言われています。これは、体の副交感神経が優位になる時間帯に気道が収縮しやすくなるためです。眠っている間に喘鳴がひどくなり、咳や息苦しさで目が覚めるケースもあります。

喘鳴の原因と考えられる疾患

喘鳴は気道のどの部分が狭くなっているかにより、息を吸う時と吐く時で音の特徴が異なります。これらの違いを理解することで、原因疾患の特定に役立ちます。

息を吸うときに音がする場合

喉頭炎・喉頭浮腫

喉頭部の炎症や浮腫により声帯周辺が腫れることで、吸気時に粗い喘鳴音が生じます。声のかすれを伴うことが多く、重症化すると呼吸困難になる場合があります。

声帯麻痺

片側または両側の声帯の動きが障害されることで、吸気時に喘鳴が生じます。特に両側性の場合は重篤な呼吸困難を引き起こす可能性があります。

気管狭窄

腫瘍、外傷、炎症などにより気管が狭くなった状態で、吸気時により強い喘鳴が聞かれます。進行性に悪化することが多く早期の診断と治療が重要です。

誤嚥

食べ物や小さな物体が気道に詰まった場合、突然の吸気性喘鳴が出現します。緊急性が高く、速やかな除去が必要な状態です。

息をはく時に音がする場合

気管支喘息

気管支の炎症により気道が狭くなり、特に呼気時に特徴的な喘鳴が生じます。夜間や早朝に症状が強くなることが多く、咳や呼吸困難を伴います。

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慢性閉塞性肺疾患(COPD)

長期間の喫煙などにより気管支や肺胞が破壊され、呼気時の喘鳴が生じます。労作時の息切れや慢性的な咳・痰を伴うことが特徴です。

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気管支炎

急性または慢性の気管支炎により気道に炎症が生じ、呼気時の喘鳴が現れます。発熱や膿性の痰を伴うことが多く見られます。

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心不全

心機能低下により肺に水分が貯留し、気道の圧迫により呼気性の喘鳴が生じることがあります。足のむくみや夜間の息苦しさを伴います。

喘鳴は病院に行くべき?
受診の目安とは?

喘鳴は病院に行くべき?受診の目安とは?喘鳴の中には緊急性の高いものもあるため、症状の程度を注意深く観察し適切なタイミングで受診することが重要です。特に呼吸困難を伴う場合は早急な対応が必要です。

喘鳴の危険な症状

以下のような症状を伴う喘鳴は緊急性が高く、速やかな医療機関受診が必要です。

  • 安静時でも続く強い呼吸困難や息切れがある場合
  • 顔色不良(チアノーゼ)や冷汗を伴う場合
  • 意識レベルの低下や強い不安感を伴う場合

喘鳴の受診の目安

以下のような場合は、緊急性は低くても医療機関を受診することをおすすめします。

  • 喘鳴が数日以上継続している場合
  • 発熱や咳、痰などの他の症状を伴う場合
  • 日常生活に支障をきたすほどの症状がある場合

喘鳴の検査方法

喘鳴の原因を特定するために、症状の詳細な評価と各種検査を組み合わせて診断を行います。患者さまの負担を最小限に抑えながら、正確な診断につながる検査を選択いたします。

問診・聴診

症状の発症時期、持続時間、誘発要因などを詳しくお聞きし、聴診により喘鳴の性質や部位を評価します。

胸部画像検査

胸部レントゲンやCT検査により、肺や気管支の構造的異常、炎症の有無を確認します。腫瘍や異物、肺炎などの診断に有用です。

肺機能検査

スパイロメトリーにより呼吸機能を客観的に評価し、気道の狭窄の程度や可逆性を確認します。

血液検査・喀痰検査

炎症反応やアレルギーの有無、感染症の合併などを評価します。原因に応じた適切な治療方針の決定に役立てます。

喘鳴の治療方法と対策

喘鳴の治療は原因疾患により大きく異なるため、正確な診断に基づいた治療が重要です。緊急性のある場合は速やかな処置を行い、慢性的な疾患では長期的な管理を行います。

薬物療法

気管支拡張薬により気道を拡張し、喘鳴の改善を図ります。抗炎症薬やステロイド薬により気道の炎症を抑制し、症状の根本的な改善を目指します。原因に応じて適切な薬剤を選択し、効果と副作用を監視しながら治療を行います。

環境整備

アレルギーの原因物質(アレルゲン)や刺激物質を避けることで喘鳴の発生を予防します。室内の清掃、適切な換気、禁煙などにより呼吸器への負担を軽減し、症状の改善を図ります。

生活習慣の改善

規則正しい生活リズム、適度な運動、バランスの取れた食事により全身状態を改善します。ストレス管理や十分な睡眠も症状の安定化に重要です。

緊急時の対応

喘息発作などの急性増悪時には、気管支拡張薬の吸入や酸素投与により症状の緩和を図ります。重篤な場合は入院治療が必要になることもあるため、症状の変化を注意深く観察することが重要です。